第10章
伝える力
誰が誰に何をどのように伝えるのか?
大切なことは伝える力の本質を知ること
自分が主役になり、ペルソナを分析してお客を知っても伝え方を知らなければ何も始まりません。現代人が1 日に触れる情報量は江戸時代の一生分に値すると言われているほどの世の中です。
現代人は情報に飽き飽きしています。そんな中、あなたが発信する情報をどのようにして受け取ってもらえるのか? この10章では、現代のような情報過多の時代でも自身の商品やサービスを欲しているお客に 伝えたいメッセージを確実に届け、具体的なアクション(サービスの購入等)まで導く 伝え方の方法と本質をお伝えしていきます。
伝える方法の種類と
伝える力の本質
最も大切なことは
「心に響く言葉を作る力」
を養うこと
「傾聴力=聞く力」と「話す力」
「書く力」「描く力」の関係性
8章では「自分が主役になる方法」9章では「ペルソナを使ってお客を導き出す」方法をお話ししてきました。ここからは「自分がどんな人なのか?」を把握した上で、「ペルソナで導き出したお客」に対してどのように伝えていくかの方法と本質をお話ししていきます。
「会話で伝える」「文章で伝える」「映像で伝える」「音声で伝える」など現代社会においては様々な手法がありますが、全ては「聞く」「話す」「書く」「描く」に分類されることを理解し、その本質を学んでください。まずは下の伝える方法の関係性を見てください。
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ネットを検索すると、「伝える力」の事を「コピーライティング」と書かれている記事を良く目にしますが、上の図を見てもらえればわかるように、あくまで「コピーライティング」も伝えるための手段の一つでしかないことをまずは理解しましょう。
大切なことは、「傾聴力=聞く力(相手を理解する力)」を鍛え、お客のことを人間的に理解し、「話す力(相手に理解してもらう力)」、「書く力(相手の心を掴む力)」、「描く力(相手にイメージさせる力)」の特性を良く知り、「心に響く言葉を作る力」を養うことがもっとも重要なのです。
それでは、まずそれぞれの力が持つ特性を理解していきましょう。
1 傾聴力=聞く力
~相手を理解する力~
相手が本当に聞いて
欲しい話を聞き出す力
「傾聴力=聞く力」はその名の通り、相手の話を聞く力のことを言います。ただし単純に相手の話を聞く事ではありません。この力が持つ最大の特性は「相手が本当に聞いて欲しい話を聞き出す力」だと思ってください。
前述ではペルソナの重要性をお話ししてきました。ペルソナで想定したお客にあなたの商品やサービスを伝えるためにまず最初に行うべきことは「お客の話を聞く」という行動だと思います。それは直接会って話を聞くだけでなく、口コミやSNS、お問い合わせなどの書き込みなどに耳を傾けることも「お客の話を聞く」という行動にあたります。この「耳を傾ける力」のことを「傾聴力=聞く力」と言い、相手に効率的、効果的に伝える時には最も大切な力となります。
本書1章「3つのC-人と関わる力の変化」でもお話ししましたが、人は「他者から承認されたい」という「承認欲求」が必ずあり、承認欲求が満たされると、心が癒されたり、自信がついたり、親近感や安心感を抱いたりもします。
一流の営業マンは、皆すべからく「聞き上手」です。お客が本当に悩んでいる核心を聞き出す技術に長けています。人によってはほとんど自分は語らず、一言で相手を信用させてしまう営業マンもいるので、11章の「伝える力を鍛える」を読んで訓練してみてください。
2 話す力 ~相手に
理解してもらう力~
あなたが何者であるのかを
理解してもらう力
話す力とは、自分が伝えたいことを相手に伝えたいままに伝える会話力のスキルの事を言います。
「あの人の会話は面白い」
「あの人の話には引き込まれる」
など周りからこんな風に言われる人がいますよね。話がうまい人、いわゆる「話す力」が高い人は、仕事や恋愛など人生の様々な場面で得をし、豊かな人生を送っているケースも多いでしょう。あなたの周りでも、「この人はいつも楽しそうだな~」って感じる人は、「話す力」が優れているのではないしょうか?
あなたのことを一番
理解してもらえるのは
会話という行為である
これはメラビアンの法則と呼ばれる話し手が聞き手に与える影響についての論文からの引用ですが、言語情報が7%に対し、聴覚情報は38%を占めるというところからも理解いただけると思います。対面での会話となれば、視覚情報が55%を占めるのであたなという人がどういう人なのかを理解してもらう方法としては、一番最適であると容易にわかることでしょう。
メラビアンの法則とは?
1971年にアメリカの心理学者アルバート・メラビアンが提唱した概念で、話し手が聞き手に与える影響を、研究と実験に基づいて数値化したものです。別名「3Vの法則」や「7・38・55ルール」と呼ばれる事もあります。話し手が聞き手に与える影響は「言語情報」「聴覚情報」「視覚情報」の3つから構成され、それぞれの情報の影響力は右の割合であるというものです。
話す力を鍛え、あなたがお客が求める言葉を適切に伝えることが出来れば、あなたのことをより理解してもらうことにつながり、そして、好意的な反応が返ってくれば、理解が信頼に変わり、あなたが提案する商品やサービスにもより興味を持っていただける可能性が高くなるでしょう。
この話す力も聞く力同様に特性を理解して訓練してみてください。
3 書く力
~相手の心を掴む力~
整理された言葉で
相手の心を掴む力
書く力とは、自分が伝えたいことを相手に伝えたいままに文章を使って伝えるスキルの事を言います。簡単に言えば「誰が読んでもわかりやすく、読みやすい文章を書く力」です。
スマートフォンの普及によりライン等のメッセージチャットが広く利用されるようになり、日常生活のコミュニケーションにおいても電話で話するより、文章でやり取りする事の方が多くなったのではないでしょうか?ビジネスにおいても、ブログやSNSなど世の中に対して自分の意見や考えを文章で発信する時代になったので「書く力」を鍛える事は、これからの時代を生き抜いていくのに、もっとも重要なスキルになっていく事は過言ではないでしょう。
ではこの「書く力」が持つ特性とは一体何なんでしょう?
それは「相手の心を掴む力」なのです。文章にするという事は自分の気持ちや思いなどを思考し整理して最適な言葉で文章にできるため、相手に分かりやすく伝える事が可能なのです。「恋人と喧嘩別れした後に冷静になり、自然と謝罪や自分の本心をメールやラインで伝え、仲直りをしてより相手の気持ちがわかり関係が密になった」こんな経験をした方も多数いるのではないでしょうか?整理され洗練された言葉は相手の心を掴みやすいのでどんどん訓練していきましょう。
また、この「書く力」にはもう一つ大きな特性があります。それは
「書く力には
再現性がある」
ということです。メラビアンの法則では、言語情報が与える影響力は7%です。しかし、話す力は同じ言葉でも話す人によって印象が変わってきます。それは聴覚情報には、声のトーンや抑揚など言葉以外の要素が大きく影響するからなのです。
逆にこの「書く力」には他の要素が影響することがありません。もしあなたがパソコンやスマホで「こんにちは」と入力したとしましょう。そして他の誰かが同じように「こんにちは」と入力したとしても誰も見分けがつかないと思います。これが文章の再現性であり、「人前でうまく話せない」という人でもお客の心を掴むことができる力なので確実に身に付けてほしい力になります。
4 描く力 ~相手に
イメージさせる力~
言葉をデザインして
話の内容をイメージさせる力
描く力とは、自分が伝えたいことを図解などを用いてより鮮明にイメージとして伝える力のことを言います。簡単に言ってしまえば「言葉をデザイン」するスキルです。
メラビアンの法則でもあるように、視覚情報は55%の影響を与えます。要は人はイメージができることでより提案されている商品やサービスを理解するということになるのです。本書ではこの描く力を鍛えることがあなたのビジネスを成功に導く大きな要因として捉えているので是非習得していただきたいと考えています。では具体的に「言葉をデザインする」とはどのようなものなのでしょうか?
下に、前述でお話ししたメラビアンの法則を元にした一つのキャッチコピーを用意しました。
この言葉を二つの方法でデザインしてみましたので、まずはそれを見ていきましょう。
言葉に字体(形)と
色をつけてイメージを作る
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言葉に字体(形)と色をつけるというテクニックは、簡単に言えば「言葉に洋服を着せる」という行為です。日常生活で毎日色々な洋服を着てファッションを気する人も多いのではないでしょうか? 休みの日であればTシャツにジーパン。仕事の時にはスーツやジャケットスタイル。ラフな格好をしている時と、フォーマルな恰好をしている時とでは、それを見た相手に対しての印象は大きく変わると思います。
言葉に字体(形)と色をつける行為も、このファッションと同じなのです。
人は言葉を受け取った時に、話をしている人と雰囲気から、その言葉が持つイメージを瞬時に判断します。ただしその判断は人それぞれです。そうすると、あたながこういうイメージを与えたいと思ったとしても、相手によっては180度違うイメージを持たれてしまうこともあるでしょう。そのイメージのギャップを視覚情報を加えることで埋めるテクニックが、この「言葉に洋服を着せる」という方法になります。
では次に、同じ言葉を図解という手法でイメージ化させたデザインを用意しましたので、そちらも見てみましょう。
言葉の意味を論理的に
分解してまとめる
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図解化をするテクニックは、スライドショーを使ったプレゼンなどを行う際に効果を発揮します。このまとめ方が秀逸であればあるほど、成約率に大きな影響を与えるでしょう。言葉や事象を図解化するテクニックは簡単に身に付くものではありません。ただし、コツさえ掴めば、訓練を重ねることで、どなたでも人を動かすことができる図解化のテクニックを身に付けることができます。
この図解化のコツや訓練方法は、11章「伝える力を鍛える」で詳しく解説しますので、是非「言葉をデザイン」する力を身に付けてください。
5 心に響く言葉をつくる力
相手の心に響く
「キラーワード」をつくる力
今まで「傾聴力=聞く力」「話す力」「書く力」「描く力」の特性についてお話ししてきました。それぞれ相手に自分の想いや気持ちを伝えるために必要な力です。ですが、ここで最も大切なことは、あなたがどんなに熱意を持って、相手のことを考えて話しても、相手の心に響かないと相手の行動は何も変わらないということなのです。
一流の営業マンは、一言で相手を口説く言葉を絶えず準備しています。その言葉のことを「キラーワード」と呼びます。キラーワードとは、いわゆる「殺し文句」と呼ばれる単語やフレーズのことです。その一言で相手の心を掴んで離さない言葉です。
人は会話の内容や書かれている文章など、一言一句覚えている人はいません。あくまで会話の流れや文章の流れを把握しているだけなのです。ほとんどの人が一週間前の友人や同僚と話した会話の内容を全て覚えていないと思います。ですが、印象深い一言はずっと心に残っているのではないでしょうか?
この心に残っている言葉こそが、「キラーワード」なのです。
しかし、この「キラーワード」をつくることは容易なことではありません。それは10人いれば10個の「キラーワード」が存在するからです。「10人10色」10人いれば10人の感情や気持ちがあるように、響く言葉も人それぞれなのです。なので、この「キラーワード」を作り出すためには、「傾聴力=聞く力」でお話しした「人間理解」による「相手が本当に聞いて欲しい話を聞き出す」ことが最も大切なのです。
相手を理解することで初めて
相手の心に響く言葉が生まれる
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「キラーワード」は
「語彙力」と「タイミング」
から生まれる
「語彙力(ごいりょく) 」とは、「語彙(言葉や単語)をどれだけ知っていて、そしてどれだけ使えるかどうかという能力」のことです。そして、キラーワードを導き出すには、その言葉をどの「タイミング」で使っていくかが、大切になるのです。日頃から相手の本当の悩みや気持ちを理解する訓練を繰り返すことで、どんな言葉を待っているかが自然とわかるようになってきます。日頃から意識するように心がけてください。
また、日本語はとても難しい言語です。同じ言葉の意味でも色々な言い回しがあります。相手が目上なのか、同世代、年下なのかによっても、言葉の使い方を変えなければなりません。「キラーワード」は聞き手が感じて、初めて成立する言葉です。相手が望んでいるタイミングで、相手が望む言葉を、多彩な言い回しで、あなたの世界観に相手を引き込んでみてください。
キャッチコピーに
「キラーワード」を散りばめる
キャッチコピーとは、主に商品やサービスなどの告知や宣伝に用いる文章や煽り文句です。対面営業であれば、会話の中で1人1人相手の感情を見ながら、適切な言葉を選択していく作業ですが、あなたの商品やサービスを広く知ってもらうためには、このキャッチコピーに工夫を凝らす必要があります。そして、このキャッチコピーに、ペルソナに合わせた「キラーワード」を散りばめる作業が、集客における最大の目的であり、あなたのビジネスの成長に、最大の影響を与えるのです。
女性向けの(美容系)の
キャッチコピーの一例
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