講師レイの語り
「クラウド=安心」
という幻想
前章では、数字の裏にある「構造」を読む力を学びました。
DXの本当のリスクは、契約書の次にやってきます。
それが「クラウド」と呼ばれる――見えない場所で動く仕組みです。
クラウドとは何か?
クラウドとは、“誰かのコンピュータを借りる仕組み”です。
データを自社で保管する「オンプレミス」と違い、
クラウドでは、サーバーやアプリをインターネット経由で利用します。
メリットは、保守負担の軽減・拡張性・コスト分散。
しかし同時に、責任範囲の複雑化と依存構造の増加というリスクを抱えます。
つまりクラウドとは、便利さの代わりに“理解力”が求められる仕組みなのです。
※クラウドの種類やサーバー構成については、応用編「インフラを設計する力」で詳しく解説します。
「クラウド=安心」という幻想
私が見てきた多くの企業は、“クラウド”という言葉に安心しています。
しかし、クラウドとは**「責任を共有する仕組み」であって、「責任を消す仕組み」ではありません。**
現場でよく聞く声があります。
- 「どこのサーバーを使っているのか、わからない」
- 「契約はベンダー任せで、内容を確認したことがない」
- 「引き継ぎのとき、誰もログイン情報を知らなかった」
経営者が理解しておくべき“3つの設計責任”
| 責任種別 |
具体的な内容 |
見落とすと起きる問題 |
| 運用責任 |
障害対応・バックアップ・監視体制を誰が担うか |
システム停止時に誰も対応できない |
| 契約責任 |
データの所有権・再委託範囲・損害賠償の上限 |
想定外の事故で損害請求できない |
| 継続責任 |
ベンダー撤退時や為替変動時の代替計画 |
サービス停止・コスト暴騰で事業継続不能 |